Chapter2

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「先生! それなら僕ら現代人はどこからやってきたんですかー?」 「ふぅむ、よい質問です」  フライドチキンを開発したお爺さんに似た二重顎が、楽しそうに揺れた。 「人類の進化は宇宙のどこかに存在する高等生命体が遺伝子操作した結果……かもしれません」  深夜のミステリー特番みたいな回答に、教室はどっと笑いに包まれた。 「冗談はさておき。人類の進化はDNAの突然変異が定着することによって起きたというのが有力な説ですかねぇ。私たちのDNAの塩基配列をじっくり見ると、突然変異でできた傷痕が残っているらしいですよ」  伍火は、他の生徒とは違うことを考えていた。宙太郎がもし本当に人間でないのだとしたらその起源はどこにあるのか。人間のような突然変異で起きた進化ではなく、人為的にDNAを操作されて起きた進化と言われた方が納得がいく。  放課後。色々なこと、主に宙太郎のことを考えているうちに、帰宅時間になっていた。  宙太郎はあれから教室に戻って来なかった。社会科資料室へ地図を返却しに行ったが、彼の姿は見えず、学校中のどこにも見当たらなかった。あれだけ存在感のある宙太郎なのに、彼の姿が見当たらないことを先生もクラスメイトも気にしている様子がなかったことが不思議でならなかった。     
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