Chapter3

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 こうして宙太郎は、しばしの間、伍火の自宅に寝泊まりすることになってしまった。 「伍火よ、仏壇の下の引き戸を開けてみぃ」 「あ、うん」  言われた通りにするとそこには大量のノートが入っていた。今まで気にしたこともなく、ロウソクや線香のストックが入っているとばかり思っていた。ノートは古めかしいものからまだ新しいものまで10冊ほどある。 「これ全部、祖母ちゃんのか?」 「そうじゃ、絹代ちゃんが陰陽師の技を書きとめたものじゃ」  ノートの表紙には古い順に番号が打たれ、西暦も記されてあった。祖母が幼い頃から何年もかけてこのノートに自分の培った技を書き込んでいたのかと思うと、重い責任が自分に圧し掛かったような気すらしてくる。 「この番号は?」 「その順番通りに読んでいくがいい。ワシは陰陽師ではないからよくはわからん。けど絹代ちゃんの血を引いているものなら読めばわかると言っておった」 「大切に、預かっておく」 「そうしてくれ」  伍火の部屋に戻ると、狐の尻尾がふよよもふもふと動いていた。人間の尾?骨付近から尻尾が8本揺れている。宙太郎は九尾の狐と言われる妖怪の血を引いているらしかった。九尾なのに尾が8本だけなのは、1本をダミーとして使用しているからだ。     
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