Chapter3

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 宙太郎は隙をついて伍火の隣に降りた。 「僕ら異形が突然暴走を始めるには原因がある……かもしれないんだ」 「病気とか?」  宙太郎は首を横に振った。 「僕らはね、自分たちがよそ者だってちゃんとわかってるんだ。地球の生物に憑りついて変異した異形だから。でもこの地球がどうしようもなく好きで好きで仕方ないって気持ちがあって」  宙太郎は泣き出しそうな顔をして話をつづける。伍火は体を起こし、ちゃんと宙太郎に向き合って座りなおした。 「ヒトの仲間になりたいのになれないって、もどかしいだけじゃない」 「もどかしいだけじゃない?」 「いつも寂しく思っているんだ」  伍火は自分の心臓がきゅっとなったのを感じた。宙太郎や妖怪たちが哀れだと感傷的になったからではない。自分こそ、過去に同じようなことを考え、感じたことがあるからだ。 「そうか、寂しかったのか……」  それは妖怪にではなく、自分に向けた言葉だった。そして祖母が妖怪退治を辞めた理由がつかめた気がした。 「孤独が妖怪を(むしば)むのだな」 「寂しい気持ちが行き過ぎると、暴走してしまうのかもしれない。言い伝えレベルの話だから本当かはわからない。けど、僕はとても信ぴょう性が高いと思っている」     
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