Chapter4

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 宙太郎の声援が耳に届く。桐宮がディフェンダーを右に左に交わし、手薄になったスペースに飛び込んだ。シュートの体勢に入った瞬間、伍火もキャッチの構えに入る。キックのインパクトを見逃さないように足元を見ていた。  しかし、伍火は急に棒立ちになった。なぜなら桐宮のキックしたボールが、ゴールポストの枠を大きく外れることが簡単に予見できたからだ。 「桐宮、どうした?」  伍火が予想した通り、ボールは大きな放物線を描き出鱈目な方向へ飛んでいく。 「こんな……」  明人はあ然としていた。しかしそれはゴールを外したからではない。二人の足元に伸びた大きな影に気づいたからだ。伍火も慌てて上空を見上げる。 「雲? いや違う!」  コートの半分以上あろうかという大きさの蛇が上空をのたくっていた。正確にいうと蛇のようなものだ。竹のオモチャのように節目で()がれた蛇が上空からこちらにゆっくりと向かってきている。 「おい、桐宮! コイツは何だ!」 「メミエズ……一晩でこんなに成長するものか?」 「メミエズって昨日の?」 「ああ、そうだ。一晩でこんなに肥大するとは……」  周囲を見渡すと、他のクラスメイトたちは気づいていない。動きの止まった伍火と桐宮を何事かと見ている。 「他の奴らは見えてないのか?」 「異形は普通の人間には見ることができないよ」  伍火の所に宙太郎が駆けつける。 「先生~!」  そして片手を挙げて大きな声を出した。     
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