秘めること2.

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「――ああ、もう! 私らしくないわ!」  こんなに悩んでいる以上に、彼は多分何も考えていない。  少し便りが遅くなったくらいで、こんなに不安になったり、妙なことを考えてしまったりしている自分が、何だかとても悔しい。  彼は会えばきっと、能天気な笑顔を見せてくれる確信があるのに。 「……香彩の馬鹿」  ぽそりと呟く。  こんなに悩んでいることなんて、絶対知られてたまるものか。 「……あ」  北の空から、現れるひかりの軌跡。  趙飛燕の姿を認めたのか、鳥の声でか細く鳴いた。  ゆっくりと手のひらの上に降り立つ。  それは、優しい声で語られる便り。  今日の出来事や、失敗談、甘い囁き。  趙飛燕は再び空を見上げる。    月を見ていた。  それはほんの少し、月が好きになった日……。 <終>
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