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「ごめんね!好きな人ができちゃったから別れよ?」
その瞬間、僕の目の前は灰色に染まって行くようだった。
「あっ、ユウト君が嫌いになったとかじゃないからね!?勘違いしないでね!?」
よくある言い訳だ。普通に嫌いって言えばいいのに。
「うん。他に好きな人ができてもしょうがないよね…」
「本当!?ありがとう!!じゃあね!今までありがとう!!」
こんな軽いノリの振り方は皆さんは見たことがあるだろうか?なんとも酷い振り方だろう。言い訳よりも酷すぎる。
「バイバイ!」
元気よく彼女はその場を立ち去った。それも笑顔で。
その笑顔は、これまで僕に見せたことないようなものだった。
僕はこの時、もう誰とも付き合わない事を神さまに誓った。リア充なんてものもどうでもよくなった。もしリア充を見たら殺してしまおうと思うほどに。
夕焼けの光が窓から差し込む。オレンジ色の教室に、僕はただ1人立ち尽くしていた。
唯一、僕が愛していた彼女に振られ、今、どうしていいかわからない。
バァァン!!!
「ふぇっ!!???」
思わず変な声が出てしまった。勢いよく開いたドアの前には、謎の金髪美少女が息を切らしながら立っていた。
「ハァハァ…失礼します……。ユウト君いる…?ハァハァ…」
「はい…僕がユウトですけど……水飲みます?」
「あ、ありがとう…。じゃあ…いただきます……。」
偶然持っていた水を彼女に渡した。それにしてもなんて綺麗な人だろう。目が透き通っていて、身体つきはスラッとしており、肌もすべすべしている。おまけに胸が…胸が……。
「……おーい?ユウト君??」
「あっ!すいません。えーっと……僕に何か用があるんですよね?」
「……うん、実は…さっき…、私そこで見ていたの。ユウト君が振られるところ。」
「…え?」
見られていたのか。僕の恥ずかしい振られ方を。よりによってこんな美少女に。
「あ、あはは…。恥ずかしいところを見られちゃいましたね~……。」
「あっ!ごご…ごめんね!?決して悪気があったわけじゃないの!!教室にノート忘れたから取りに行ったらたまたま…」
「ああ、大丈夫ですよ。気にしてませんし。それで、僕になんの用ですか??」
彼女はもじもじしながら口を開いた。
「私っ!ユウト君の事が好きですっ!!!!!付き合ってください!!」
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