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B 「なぁ映子、今、何年の何月何日だっけ?」
A 「何言ってるの? 2052年の12月24日、イブだよイーブ、忘れたの?」
薄いグレーの空から降る雪は、冷たさを感じさせない。
僕はやはり雪を知らなかった。
おそらく映子も雪を見た事は無いのだろう、それとも『そう』信じたいのだろうか、何度も足元の雪を手に取り舞い上がらせては、すぐさまシャッターを切っていた。
頬を涙が伝った、上を向いて目尻から涙を流さないようにするが、ダメなようだ、両目から流れ出る涙。
B 「映子......もういいだろ、行こう......」
A 「は? 行くってどこに?」
B 「......天国」
今日で終わりにしよう――
すでに何度もこの日を繰り返している事も、分かっていても信じたくない彼女の姿を見るのも......
A 「えっ? 何、待って、何言ってるの?」
B 「映子、僕達、生きてたらもう......80歳だよ」
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