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目覚め
真っ暗で何も見えない。ふわふわと浮遊している気もするが、何処かに倒れている気もする。痛みも、寒さも何も感じない。まるで全身の感覚がなくなったようだ。
───ここは何処だ?
「……い、……おー……」
何だ?何か聞こえるけど、小さ過ぎてちゃんと聞き取れない。
「おーい!……な!」
ん?誰かに呼ばれて……
「────もう!早く起きな!!」
バシャッ!
突然、至近距離で誰かの怒号が響いたと同時に、俺の顔に大量の水が飛んできた。
「……えっ?えっ?」
「キョドってるんじゃないよ!そんな所で寝られたら迷惑だろう?早くそこを退きな!」
冷たい水の感覚と共に俺の目に飛び込んできたのは、知らないお婆さんの怒り顔だった。突然の事で何が何だかさっぱりだが、その婆さんに水を掛けられた事だけは分かる。何故なら手に空のバケツを持っているからだ。
というか、「そんな所で寝られたら」って何だ?まさか、俺は今まで寝てたのか?
そう思い、取り敢えず上体を起こしてみた俺の目に飛び込んできたのは、またしても驚愕の光景だった。
「え……?」
そこは、だだっ広い道路の真ん中だった。
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