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「今更何を焦ってるんだい!アンタみたいな汚い男を助けてやるって言ってるんだよ!少しは感謝しな!」
お婆さんは怒りながらも、ズカズカと俺を運び始めた。混乱する俺には目もくれず、道路から歩道へ出て、そして歩道を歩くこと僅か二分足らず。
「ほら、入りな」
そこには、一軒の大きな豪邸が建っていた。
「うわ、デカい……」
「取り敢えず、アンタには此処にいて貰うよ。分かった?」
何だこの婆さん。冷たいのか優しいのかよく分からん……!
未だ状況を飲み込めていなかった俺には、お婆さんの厚意に感謝する余裕はなかった。
ただ、雲間から覗く綺麗な三日月をぼんやりと眺める事しか出来なかった。
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