0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
いつかのように、僕たちは星空の下で流れ星を探していた。
「今日はオリオン座流星群なんだって!」
「へぇ、じゃあもしかしたら大きいの流れるかもな」
「うん、楽しみだね!……ちなみに、さ。ユウは今年、どんなお願いごとするの?」
「秘密」
「も~!教えてくれたっていいじゃん!」
「誰だよ、願いごとを口にしたら叶わなくなるって話してたの」
「それはユウが言ったことじゃん」
「あれ、そうだったっけ」
いつものように、たわいない話をして流れ星を探して、何事もなく終わる1日だったはずなのに。
「あたし、進路決めたんだ」
ソラのこの一言から、平穏は消え去った。
それに気づかぬまま、僕は話し続けた。
「おぉ、やっとか。確かこのクラスで進路決まってなかったのソラだけだったよな」
「んふふ~、たっくさん迷った証拠だよ!」
「はいはい。で、進路はどうするんだ?」
「あたし……就職することにしたの。東京に」
「へぇ、結構遠いとこ行くんだな。就職組にしては珍しいじゃん、東京なんて」
僕たちが通う高校は、進学と就職が半分くらいの比率で、どちらかと言えば就職に力を入れている学校だ。
最初のコメントを投稿しよう!