この星空の下で、キミを待ってる

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この学校で一口に就職と言っても、この学校に来る求人は割と色々な職種がある。 ひとえに総合学科だからだろう、商業から工業、かなり幅広く求人票を貰えるらしい。 それ故、求人は県内に限らず近隣の県からも来ている。 埼玉県にあるこの高校は、慢性的な人手不足である東京からも求人が来る。 倍率は高いらしいが、その分給料も弾む。 「……あたし」 「ん?」 「……本当は行きたくないんだ、東京に」 「なら何で「あたしさ、星が好きなんだ」……うん」 「だから、東京は行きたくない。ここみたいに、星が綺麗には見えないと思うの」 「そう、だな」 「だから、行きたくない」 「……何で東京に就職することにしたんだ?」 先ほどはソラの言葉で遮られて聞けなかったことを聞く。 「……あたしの家の事情、どこまで知ってる?」 「どこまでって……ソラの家が国内から海外まで、色んな貿易してる会社だってことくらいかな」 「そう、あたしの家は貿易会社なの。それで、お父さんが社長だったんだけど、つい最近お父さん、過労で死んじゃった」 「……え、」 「だからあたしが会社を継ぐことになったの。あたし、ひとりっ子だからさ、拒否権なくって」 知らなかった。 ソラの父が亡くなっていたことも、ソラが会社を継ぐことになったことも。     
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