#4 約束

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 悔しくなって私は拗ねたふりして口を尖らせた。 「それは……上官命令でありますか」 「いいや?」  中将がニヤリと笑う。 「おまえを誰よりも愛しく想う恋人の願望だ」 ――恋人。その響きに胸の奥がきゅうっと締まる。  でもそれは、今までに感じた切ない痛みではない。さくらんぼのように甘酸っぱい、初恋のときめきだ。  そしてこんな駆け引きすら、やはり中将のほうが一枚上手だと思い知る。  私は彼の瞳、その奥をまっすぐに見つめる。  彼の心の奥底まで、私の想いが届くように、ありったけの勇気を出して彼に伝える。 「伴行さん……愛してる」 「将希…!」  強く私を抱きしめながら、何度も私の名前を呼ぶ中将の低くかすれた声が耳をくすぐる。  それだけで私の身体は彼だけのために色づいていき、彼の手でひとつ、またひとつと真紅の徴が増えていく。 「ああっ……伴行さん、愛してる……愛してる……!」  中将が触れたその痕跡は、彼だけのものである証。そして、全身をぞわりと駆け抜ける甘美な電流に私は身体をくねらせ、初めての快楽に溺れていた。 「ん、はあっ……、あ、んっ……!」     
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