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「伴行さん……」
私は中将の唇に軽く口付け、おずおずと右の小指を差し出す。
「約束……してください。ずっと私と一緒にいてくれると」
「ああ。絶対におまえを離さない」
互いの小指が強く絡む、二人を繋ぐ約束。
「愛してる、将希」
「私も……」
こんな時代でなければ、出会うことなどなかった運命の人。
中将と私を引き合わせてくれた狂った時代に初めて感謝し、彼と共にあることに命の尊さを感じて、私の中に生きる気力が湧いてくる。
「無事に帰還できたら、伴行さんと一緒に住む家を探さないといけないですね」
「そうだな。地主に伝がある。帰ったらふたりで訪ねてみよう。いい家が見つかるといいが」
この先、二人で描く幸せを想像し、そして決意する。
こんなところで終われない。
私たちは、星空の下でいつまでも抱き合っていた。
――――ふたりなら、もう何も怖くない。
***
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