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#3 告白
ジャングルには、連日強い日差しが照りつけたが、時折ひどい雨にも見舞われた。
だが雨が降れば、しばし不快な蒸し暑さを忘れられるし、なにより喉を潤すことが出来る。雨水は私たちの命を繋ぐ、大切な空の恵みだった。
今夜も湿った風に乗って水の匂いがする。どうやらひと雨来そうだ。見上げた空に星はなく、朧月の輪郭が雲に透けていた。
結局私たちは、そんなに歩かないうちに日暮れを迎えてしまい、途中で見つけた洞窟で一夜を明かすことにした。
洞窟の奥行きはさほどなく、私たち二人が寄り添ってやっと座れる程度で、本当に雨露を凌げるくらいの広さだ。
ジャングルには人間を狙う危険な動物が多い。彼らを寄せ付けないためには、焚き火が最適の手段だが、闇に燃える火は敵に居場所を教えることになり危険だ。
私たちは暗闇の中でじっと朝を待つことにした。
岩の割れ目や天井からはちょろちょろと水が染み出していた。その水はこんな蒸し暑い場所とは裏腹にとても冷たかった。
ろくに水も飲まないままだった私たちは、岩肌に舌を這わせ、染み出る水を必死に飲んだ。
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