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#4 約束
軍人としての誇りである軍服をそこらに脱ぎ捨て、私たちは獣のように互いを貪り、睦みあっていた。
「ん……はあっ……!」
汗で濡れた身体と唇を重ね、私は中将の舌で、必死に中将の舌を吸い、その唾液を飲み干していた。
苦しくなって口づけを解くと、逃げるなとばかりにすぐに中将のそれに捕らえられる。
胸の尖りはきつくしこり、触れられると痛みにも似た痺れが走る。
あんな小さな体の器官に体中の神経の全てが集まっているかのように、鮮明に中将の指の動きが私の脳裏に刻み込められる。
「将希……好きだ」
やっと解放されたと思ったら、まだ足りないとばかりに唇を奪われ、ただ必死で互いの舌を絡めとる。
「んんっ……、好き、中将殿……」
「中将殿、は無しだ」
中将は私の耳元で囁き、ニッと笑う。途端に私の頬が熱を持つ。
たった四文字のその言葉は、とても甘くて面映ゆい。だがその言葉は、これからの私をさらに変えてゆくしあわせの呪文だ。
「ほら言ってみろ。俺の名前を」
「はい、あの、その……」
胸がどきどきして、彼の顔すらまっすぐ見られない。初めて口にするその名前は、身悶えしそうなほど、甘美で狂おしい響きで。
「伴行、さん……」
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