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レンズ
B 「曇ってない?」
A 「ぼやけてるぐらいがちょうどいいのよ」
どうかそのまま、曇っていて欲しいと僕は願った
ありのままの世界を君に直視してほしくないから
閉ざされた世界の中で、美しさが保たれた映像が、僕たちには必要だ
この雪はきっともう止むことはない
僕たちは、ただただ終わりの時を待つだけだ
でも、せめて、それまで、少しでも多く、この世界の美しさを残していこうと思う
B 「帰ろうか?」
A 「待って、こっち向いて」
B 「僕なんて撮っても楽しくないだろ?」
A 「残しておきたいから・・・あなたがいた跡を」
僕は火傷の痛みに耐えながら、精一杯の笑顔で応えた
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