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雪が眼前に容赦なく迫る。ぱたぱたと毛穴に触れ、氷水に変わる。冷たい。次から次へと、天から絶え間なく降り注ぐ粉砂糖。ざらざら、ざらざら。薄雲から透ける淡いイエローにあてられて。白は水晶のごとく輝き、金色の糸をひいて舞い落ちる。
空はもうすぐ晴れると言っている。大地はまだまだ吹雪けと辺りをまきあげる。白、白、白、金。私は確かに見たと思う。その先に続く、今と変わらぬ新しい景色を。
不安にならなくて良い。このまま。なだらかに時は紡がれていく。いずれ雪は止み、草木は芽吹き、花は咲き乱れ、私はマフラーを取る。そうしたら、シャッターを簡単に押せるようになって、また写真を撮ることができるようになるだろう。
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