貴方という嘘吐きへ。

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 付き合って八年になる最愛の貴方へ。  そんな貴方に伝えたいことがあります。  ?  八年前。まだ学生で恋愛のれの字も経験したことのない私は貴方に恋をしました。  貴方は学生にしては落ち着いていて人当たりが良く、学校中から人気のある人でした。運動神経も成績も良く、何をやっても簡単にこなしてしまうような人で、それでいてそれを着飾らない。そんな所謂(いわゆる)完璧な貴方が、長所なんてまるでない私の告白を頷いてくれた時、私はその場で飛び上がってしまいたいくらいに幸せだったのを覚えています。  付き合ってすぐはあまりお話できませんでしたね。それは内向的な性格をしていた私に原因があったのですが、そんな私に何度も声をかけ、気を遣ってくれた貴方。私の逃げ惑う後ろ姿を、貴方はどんな想いで見ていたのでしょうか。もし心配や不快感を感じていたのなら本当にごめんなさい。  その時の私は好きな貴方と付き合えたことに気持ちが浮ついていました。なんせ私にとっては初めての好きな人で、初めての恋人だったのです。私が感じていた幸福は貴方も感じ取れる程のもので「幸せそうだね」と微笑む貴方の表情は、いつでも思い出せるほどに記憶に焼きついています。
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