あなたがいなくなっても

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「はぁーさむー」 春の季節がもう少しで来るはずなのに、まだまだ降り続ける雪。 寒いけれどこの寒さが癖になってきている。何だかこの寒さの中にいると何もかも忘れ、嫌な気分が浄化される。気持ちいいな。 趣味のカメラをぶら下げやってきたいつもの公園でシャッターを切る。 滑り台、ブランコ、鉄棒、忘れ物のボール。 珍しいものではないけれど雪があるだけで違う景色に変わる。うん、いい感じ。 ふと気配を感じ振り返るとカシャっと音がした。 「…はぁ、マキ来るの遅いよ。どんだけ待ったと思ってるの?」 「あはは、さくらちゃんゴメンね。ちょっと色々あって…。あのねぇ…」 「ん?」 「えっとね…」 「コラ、言いたいことがあるならはっきり言いなさい。悪い癖だぞ」 「あは、うん、そうだよね」 苦笑いを浮かべるマキに違和感を感じた。あれ?顔色が悪い…。そう思い大丈夫?と口を開こうとした瞬間マキが泣き始めた。 「ちょっ、どうしたの!」 ぎゅっと唇を噛み締め袖で涙を拭う。 「ブランコ懐かしいなって」 小さい頃2人でよく乗ったブランコ。マキは上手く出来なくて、私がよく背中押していた。そしたら勢い付けすぎてこけて泣いたっけ。 「そんな昔のこと覚えてないわ」 「そっか…」 「…うそよ。よく覚えてるわ。一緒に泣き出して、周りにいたおばちゃん達が慰めても泣き止まなくて迷惑かけたもの」 「そうそう。あの後、お母さん達にも怒られたね」 「うん」 マキはブランコを見て笑ったかと思うと、ぎゅっと唇を噛み締め、強い瞳で真っ直ぐ私を見つめてきた。いつもとは違うマキに心臓の音がドキドキと速くなる。
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