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「さくらちゃん、いつも一緒にいてくれてありがとう」
「えっ…何、急に…」
「こんな、情けない私を見捨てないで幼馴染みでいてくれてありがとう」
「マキ?」
「さくらちゃん…大好き」
「ちょっ、こんなところで恥ずかしいこと言わないでよ」
恥ずかしくなり、写真を撮り始める。ふと静かになったのでしんぱいになり、レンズ越しにマキをみた。
「えっ?」
マキの姿が透けて後の景色が見えた。慌ててカメラ
から顔を上げ直接見たが、やっぱり透けている。
「なに…これ…」
唖然とたたずむ私にマキはふわりと優しく笑った。目に涙をいっぱい浮かべながら。
「さくらちゃんと、ずっと、ずっと、ずっと、一緒にいたかった…でも、出来なくなったの、ごめんね」
「なに…意味、分かんないんだけど…」
「うん、わかんないよね。それでもいいからこれだけは覚えてて」
マキが私をぎゅっと抱きしめる。けれど、暖かさも感触もない。何これ…夢?
マキは抱きついたまま耳元で囁いた。
『さくらちゃん、 』
そう言葉を残し、マキは消えた。まるでここにいなかったように…。
「マキ…マキ、マキ、マキー!」
大声で呼んだが返事は返ってこなかった。愕然としている私のポケットからスマホの着信が鳴る。
無意識に電話を取ると母親からだった。
「さくら、落ち着いて聞いて。今日マキちゃんがー」
その後はもう何も聞こえなかった。ただ、声を上げ泣き続けた…。
数年後。
私は毎年この時期に公園にきて、ひたすらシャッターを切っている。まわりは誰もいない。私一人。
ふと横からカシャっと音がした気がして振り向いた。
『さくらちゃん、愛してるよ』
「うん。マキ、私も愛してる」
私はマキの最後の言葉を胸に抱きしめながら、今日もシャッターを切る。
END
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