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テリオスは追われていた。政敵に敗れ、冤罪をかけられ、館に火をつけられた。
父、母は既に殺され、妻と2歳になったばかりの娘を抱えて馬を走らせた。
追っ手をから逃げて、逃げられなくなれば切り伏せて、そうして三日逃げ続けた。
しかし妻子は疲れ果て、馬はつぶれた。もう限界は近づいていていた。
子を抱え、妻の手を引き山を登りながらテリオスは最悪の結末を考える。
その時眼下に武装した一団が見えた。指揮を執っているのは…。
「ハワード…」
ハワード。幼少期からテリオスと共に育ちお互いがお互いを切磋琢磨し高めあった仲。
25歳の同い年で士官学校を共にトップクラスの成績で卒業した親友。
親友であるテリオスが罪人とされたためにハワードにも嫌疑がかけられていた。その嫌疑晴らすため、彼は追っ手となるしかなかったことはハワードには容易に想像できた。
テリオスはその時点で自信の命は諦めた。
彼が隊をを率いているならば万に一つも獲物をを討ち漏らす事はない。そのことを誰よりも知っていたからである。
だがしかし妻子の命だけは守らねばならぬ。自身の命と同じように諦めてはいけない。テリオスは最後の賭けに出ることにした。
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