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真っ暗な台所に、電子レンジの時計表示が浮かび上がる。
手探りでスイッチの場所を当て、電気を点ける。
姿を現した冷蔵庫には、無数の付箋が貼られていた。
この付箋らに除霊効果などはない。
付箋の正体は、極端に記憶力が悪い父が残したメモであった。
明日の予定からゴミ出しの曜日まで。様々な種類のメモが書かれている。
冷蔵庫を開けて飲み物を探すが、お茶やコーヒーにビールと、これといったものが見つからない。
「これで我慢するか・・・」
僕が手に取ったのは飲みかけのコーラだった。
ペットボトルのラベルの少し下あたりまでしか入っていないコーラ。
炭酸は抜けきっているが、キンキンに冷えている。
乾ききった喉を潤すため、勢いよく飲む。
駄菓子を混ぜて作ったような、独特な甘みが口いっぱいに広がった。
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