第3章 運命の日

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「・・・学校はどうだ」 いつからか。親父は僕に、度々この質問をするようになった。 僕はこの質問があまり好きではなかった。 『良い』と言えば嘘になるし、『悪い』と言えば悲しませることになる。 だから僕はこう答えるように決めている。 「・・・ぼちぼちだよ」 その答えに、親父は喜ぶでも悲しむでもなく。無表情のまま、一呼吸置いて。 「そうか」 と、答えた。 いつもと同じ質問に、いつもと同じ答え。 社交辞令のようなやりとりは、家族の会話とはほど遠いものだった。
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