第3章 運命の日

7/13
前へ
/220ページ
次へ
いつもと同じ道に、いつもと同じ景色。 いつもと違う電車に揺られること一時間。 僕は校門の前にいた。 「もしかしたら開いてないかも」と少し心配していたが、どうやら杞憂だったようだ。 「教頭先生も朝早くから大変だな」 学校の鍵を管理していると聞いたことのある、教頭先生を頭に浮かべて、校内に入っていく。 いつも色とりどりな靴箱はどこも空で、校内用のスリッパだけが綺麗に並んでいた。 「誰もいないのか・・・」 自分が一番だと思うと、少しだけテンションが上がった。 何事も一番だと嬉しいものである。 誰の声も足音もしない学校に新鮮さを覚えながら、二階にある教室に向かう。 いつもの学校とのギャップと、生活リズムの崩れから。僕のテンションは自然と高まっていく。 教室に着く頃には最高潮となり、なんなら鼻歌まで歌っていた。 しかし、教室のドアを開けた瞬間。その高揚はどこかに消えてしまった。 なぜならそこに、誰もいないなずの教室に。 小川結衣がいたからだ。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加