第3章 運命の日

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長い前髪で隠されていた目は、人形のようにぱっちりしていて、滅多に開かない口からは少しよだれが垂れている。 そんな無防備で可愛い女の子に、年頃の僕は目を奪われた。 相変わらず静かな教室に。時計の秒針と、僕の鼓動だけが響く。 どれほどの時間そうしていたのか、突然彼女は目を開いた。 「「・・・・・・」」 完全に見惚れていた僕と、バッチリ目が合う。 慌てて目を反らし、言い訳を考えるが、何も出てこない。 二人だけの教室に気まずい空気が流れた。
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