第3章 運命の日

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永遠にも思える長い沈黙。 それを破ったのは、意外にも彼女の方だった。 「・・・・・・みた?」 五席向こうから、かろうじて聞こえるくらいの小さな声で発せられた質問。 僕はその意味がわからず、頭の上に?マークを浮かべた。 「・・・みたの?」 「みました!」 先ほどよりも大きく、どこか緊迫感のある声でもう一度尋ねられ、僕は反射的に肯定してしまった。 「そう・・・・・」 証拠を突きつけられた被告人のような、思いつめた表情を浮かべる彼女。 僕は、その反応に違和感を覚え、彼女に尋ねる。 「そんなにみられるの嫌だった?寝顔」 「・・・寝顔?」 「うん。寝顔」 「・・・・・・なんだ」 なにやら、勘違いがあったらしい。 ほっと安心する彼女は、赤点を回避した時の僕のようで、なんだか可笑しかった。
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