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「・・・なんで笑ってるの?」
「え?もしかして顔に出てた?」
どうやら感情がそのまま表情に出ていたらしい。
僕が自分の顔を両手で触っていると、彼女はくすくすと笑った。
その仕草がとても可愛らしくて、僕の心はくすぐられる。
「・・・でも、なんで私の顔じっとみてたの?」
子供が、空に浮かぶ雲について母親に尋ねるように。純粋な目で尋ねてくる。
「それは、小川さんが可愛かったから・・・」
この特別な空間がそうさせたのか、それとも変則的な生活リズムによるものか。
僕は思ったことをそのまま口にしてしまっていた。
「そう・・・・・」
彼女の顔がみるみる赤くなる。
僕が、頭の中で必死に言い訳を探していると、廊下の方から話し声がした。
僕は慌てて姿勢を戻し、平静を装う。
それと同時に、数人のクラスメートが談笑しながら教室に入ってきた。
昨日観たテレビなど、他愛もない話に花を咲かせている。
ちらっと、五席向こうの彼女を確認する。
そこに座っていたのは、いつもと変わらず無表情な女の子だった。
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