第3章 運命の日

12/13
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
その日の夜。贅沢に足を伸ばせる湯船の中で、僕は今日の出来事を思い出していた。 長期休暇明けの同級生のように、雰囲気をガラリと変えた学校。 誰もいないと思っていた教室で、ひとり眠っていたいじめられっ子。 いじめられっ子の仮面の奥に垣間見えた、年相応の可愛らしい女の子の顔。 そして、いじめを見て見ぬ振りして、傍観する僕。 「・・・よし」 小さな決意を胸に秘めて、芯まで温もった身体を立ち上げる。 髪の毛から滴る水滴は、すでに冷たくなっていた。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!