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「おはよう」
「・・・おはよう」
挨拶が返って来る喜びを噛み締めながら、小川結衣が座る『デスシート』の一つ前の席の椅子を引く。
誰もいない学校、二人だけの教室。
すっかり日常になった風景がそこには広がっていた。
引いた椅子の背もたれを抱くような形で腰を下ろし、他愛もない話をする。
食事や睡眠のように、今では生活の一部となったこの時間が。僕にとっては、かけがえのない大切なものになっていた。
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