15人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道、僕はあることを考えていた。
小川結衣についてだ。
彼女はいわゆる『いじめ』を受けている。
そんなことは、みんなが知っていて、心配もしている。
それでも助けようとしないのは、自分が次の標的になることを恐れているからだ。
自分を犠牲にしてまで、誰かを助けようとする。そんなアニメの主人公みたいな人は、そういるものではない。
そういないからこそ、主人公になりうるのである。
もしも、彼女がいなかったら。いじめの矛先は、きっと僕に向いていただろう。
友達はいないし、これといった趣味や特技があるわけでもない。
外見もパッとせず、勉強も運動も中の下。
こんな僕が平穏な学校生活を送れているのは、ある意味彼女のおかげかもしれない。
こんなことを考えてしまう自分が、僕はたまらなく嫌いだった。
最初のコメントを投稿しよう!