第1章 現状

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電車で揺られること一時間。 駅を出てすぐの交差点を右に曲がり、左手にある大きな坂を登ると、家が見えてくる。 「ただいま」 二人で暮らすには広すぎる立派な家。その中に、僕の独り言が響き渡る。 靴を脱ぎ、後から履きやすいように揃えてから、二階にある自室へと向かう。 開いた形跡のない参考書が並べられた机に、大きめのベッド。 殺風景という言葉がぴったりな部屋が、そこにはあった。 制服のブレザーをハンガーに掛け、ズボンからシャツを引っ張り出し、ネクタイを緩める。 そして思考を止め、ベッドに飛び込む。 まるで電源が切れたロボットのように、僕は深い眠りについた。
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