15人が本棚に入れています
本棚に追加
電車で揺られること一時間。
駅を出てすぐの交差点を右に曲がり、左手にある大きな坂を登ると、家が見えてくる。
「ただいま」
二人で暮らすには広すぎる立派な家。その中に、僕の独り言が響き渡る。
靴を脱ぎ、後から履きやすいように揃えてから、二階にある自室へと向かう。
開いた形跡のない参考書が並べられた机に、大きめのベッド。
殺風景という言葉がぴったりな部屋が、そこにはあった。
制服のブレザーをハンガーに掛け、ズボンからシャツを引っ張り出し、ネクタイを緩める。
そして思考を止め、ベッドに飛び込む。
まるで電源が切れたロボットのように、僕は深い眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!