第2章 幼き日

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第2章 幼き日

「ただいまー!!」 全身泥だらけの少年が、勢いよくドアを開け、元気に叫ぶ。 香ばしいスパイスの匂いが家中に広がっていて、少年の腹の虫も元気に叫んだ。 「おかえりー」 優しい声が台所から聞こえてきて、少年は一気に笑顔になる。 急いでマジックテープを外し、靴を乱暴に脱ぎ捨てる。台所に通じるドアが開き、エプロン姿の母が姿を現した。 それを見た少年は、新しくおもちゃを買ってもらった子どものような、とびっきりの笑顔をみせる。 そんな少年につられてか、母も優しく微笑んだ。 「またこんなに汚して、なにしてたの?」 「友達とサッカーしてたんだけど、昨日の雨でグランドが濡れてたんだよ」 母が持ってきたタオルで、顔を拭きながら少年が答える。 「また洗濯が大変だ」と、ちょっとした文句を言う母は、どこか嬉しそうだった。
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