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ここは岩手県二戸市。周りは山ばかりで道路は坂道が多い。
そんな田舎町は、冬になるとあっという間に雪が積る。
そんななか真冬の山道を全力で走る少年がいた。
男 「やっと見つけたぞ!親の都合で東京に行くって本当なのかよ?」
感情的な男とは裏腹に、そこにいた少女は唖然としている。
男 「小さい時からずっと物静かで、カメラばかりいじっているお前のことを俺は好きだってことに気が付いた。それなのにお前は引っ越すことも言ってくれないで、そんなに俺のこと嫌...」
女 「待ってよ!私だってあなたのことが好きだった!
でも考えたらわかるでしょ?ここから東京じゃあ距離もあるし毎日会うことなんて到底無理!
そんなところで気持ち伝えてどうするのよ!」
男 「ごめん。もっと早めに決断すればよかった。もっとお前と一緒にいたかった」
女 「私も両親に残りたいと提案したけど断られた。
でもお正月やお盆には帰ってこれるみたいだからさ!」
男 「じゃあ最後に1ついいか?」
女 「何?」
男 「そのカメラでお互いのことを撮り合わないか?
次会うときに、この同じ場所でお互いのその写真を持ってたとしたら俺と付き合ってほしい」
女 「昔からあんたは変わったことをしたがるのねw別にいいよ!でも持ってこないかもしれないよ?w」
男 「いや、お前は絶対に持ってくるよ!そのマフラーだって2年前俺がプレゼントしたやつじゃねーかwまだ使ってくれてたんだな。」
女 「覚えてたんだ。これもらったとき本当ににうれしかった。だから今回も無くしたりしないよ。絶対あんたも無くさないでね!」
男 「当たり前だ!ほら!撮るぞ!」
そうこうして俺たちは別れることになった。次に会うとき俺たちはどのくらい変化しているのだろう。そんなことをお互いに思いつつ見送り、見送られた。
彼女は新幹線の中で号泣し、俺は1人駅に取り残され涙が出てくるのをぐっとこらえていた。
そして2年が過ぎて俺は今あの日と同じ場所に向かっている。もちろんあの時の写真を持っ
て。
男 (あのマフラーはきっとあいつだ。先に来ていたなんてな)
女 「遅すぎだよ。久しぶり!」
男 「お前はいつも早すぎるんだよ!」
とても大人びていたそんな彼女のコートのポケットにも、あの時の写真が入っているのが見えた。
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