-矢口のお嬢様の機嫌-

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 矢口のお嬢様は、ズーッと、壁に飾られた絵を睨んでいた。  私は、そんな矢口のお嬢様の姿を見て、後悔の念に駆られた。  …やはり、絵を貶(けな)したのは、まずかった…  …どんな絵でも褒めるべきだった…  私は今さらながら、思った…  自分の部屋に飾られたものならば、どんなものでも、それはお気に入りのものだ…  誰もが、気に入らないものを飾る人間はいない…  当たり前のことだが、私は、今さらながら、それを思った。  なにしろ、矢口のお嬢様が、ズーッと、腕を組んで、絵を睨んだままなのだ…  まさか、私の不用意な発言が、こんな結果を生むとは?…
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