嫌がらせ

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「あっ!!!」 タイトスカートから伸びた長くすらりとした足が突き出されたと気づいた時にはすでに遅し。 持っていた高級盆を空中に投げ出して見事に転んでた。 「い、痛たた…」 打った膝を抱え見ると、ストッキングは破け擦りむいて血が滲んでる。 思いっきり打ち付けて体があちこち痺れてた。 「ほう?俺に紅茶をぶちまけるとは度胸のある女だな。顔を上げてみろ」 ヒッ、 目の前には取締役副社長。 社内で知らない者はいない、大神物産の御曹司。 冷たいと評判でニコリともしない氷のような美貌で、役に立たないと知れば冷酷にクビを切る。 そんな副社長を涙目で見上げると、頭から被った紅茶を滴らせたままわたしを立ち上がらせた。 「悪かったな」 「…何を…ですか?」 「わからないなら、いい」
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