嫌がらせ

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ふたりはなんとなくお互いに素っ気なかった。 「もういいだろ。俺は仕事に戻る」 「え、火傷の痛みあるはず…それに濡れたシャツを着替えないと」 「大丈夫だ、このぐらい。シャツはすぐ乾く」 「だめです!痛むなら少し冷やさないと。それに風邪ひいたら大変ですから!」 火傷はヒリヒリと痛むのに、副社長はきっと自分のことには構わないで仕事の虫になるに決まってる。 シャツだって濡れてても平然と着てるに違いない。 「仕事は後でなんとかします。少し待っててください!」 副社長にアイスノンを手渡すと医務室を飛び出した。 ビルを出たら近くの店に飛び込んで初めて男の人のシャツを買った。 サイズはたぶん合ってるはず。 急いで戻ると、先生ひとりだった。 「副社長なら仕事に戻ったわよ?」 「…あ、ありがとうございました」 先生にお礼を言って秘書課に戻ると副社長の部屋を訪ねた。
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