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結局、最後まで俺の片思いだった。 通じることのできなかったその想いは、行き場を失い、水滴となってラップの上へ落ちていく。 いつのまにか体の一部となっていたその想いが、体の中から出ていくと、体の中にぽっかりと大きな穴があく。 どんなに強く抱きしめても 何度キスを交わしても 体を重ねたところで 彼女の張り詰めた心を緩めてあげる事は出来なくて いつかはこの手の中から離れて行ってしまうんじゃないかと 不安で 淋しくて 怖くて 情けなくて ずっと怯えていた そんな気持ちから解放されたと言うのに、残ったのはもっと深い悲しみだけだった。 ずっと好きだった。 でも、なくなってしまった……     
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