そして空を見上げた。君と未来への道を見つけるために。

3/12
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
信号で停まる。運転席で夫はハラハラしてる。もっと落ち着いてよ、あなたがそれでどうするの……と、ちょっとだけ思考をずらすと痛みが楽になった。 真っ暗な道の先を見る。 明るい場所を求めて、進む。 君ははじめて通る道。 本能で知ってる、進むべき道。 不安なのは私だけ。 怖いのは、私だけ。 痛いのも、私だけ。 だけど君も一緒に頑張ってるんだって、聞いたよ。ほんとう? 居心地のいい場所には、ずっといたい。 このままの幸せが、続けばいい。 でも、人間ってそんな停滞する生き物じゃないから。 道があれば、進むから。 私にとっては、未知の道。 君ははじめて通るのに、知ってる道。 痛みの間隔をみて車から降り、深呼吸をひとつ。真っ暗な道を辿った先に君がいるなら、私も行かなくちゃ。 光が溢れる入り口へ、ゆっくり自分の足で向かっていく。中で待っていてくれた看護士さんに案内されて、まずは心音と胎動でご対面。 君の少し早く、力強い鼓動。 希望と期待しか持っていないんだ。 私の少し早く、緊張してる鼓動。 不安や焦りを、取り除きたくて。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!