7人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章 霊感
月子は子供の頃、何となく自分は霊感が強い様な気がしていた。
そのせいで、友達との約束をドタキャンすることが時々あった。
朝早めに起きて準備がすっかり整ったのに、嫌な予感がしてどうしても出かけたく
なくなるのだった。
そんな後でテレビのニュースを見ると、行かなくて良かったと月子は身震いするの
だった。
月子は、いつも見えない霊達に助けてもらっている気がしていた。
そんな月子の霊感は、成長と共に強くなっていった。
そして遂には、霊と日常会話が出来る様になっていた。
月子は、もはや霊とは不思議で恐ろしいものではなく、仲のいい幼馴染の様な者だ
と感じていた。
そして、霊達の方も、月子のことを同じように思っていた。
大人になった月子は、この頃あることで悩みを抱えていた。
それは、月子が交流を深めてきた霊達から、毎日のように悩み事の相談を持ちかけ
られる事だった。
その件数は、日を追うごとに増えていった。
月子は、今まで散々助けてもらってきたのだから、彼らの話を聞かない訳にはいか
なかった。
月子は、毎日霊達の相談を受けるうちに、人間も霊も、同じようなことで辛い目に
あっているんだなあと思うようになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!