第一章  霊感

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第一章  霊感

 月子は子供の頃、何となく自分は霊感が強い様な気がしていた。 そのせいで、友達との約束をドタキャンすることが時々あった。 朝早めに起きて準備がすっかり整ったのに、嫌な予感がしてどうしても出かけたく なくなるのだった。 そんな後でテレビのニュースを見ると、行かなくて良かったと月子は身震いするの だった。 月子は、いつも見えない霊達に助けてもらっている気がしていた。  そんな月子の霊感は、成長と共に強くなっていった。 そして遂には、霊と日常会話が出来る様になっていた。 月子は、もはや霊とは不思議で恐ろしいものではなく、仲のいい幼馴染の様な者だ と感じていた。 そして、霊達の方も、月子のことを同じように思っていた。  大人になった月子は、この頃あることで悩みを抱えていた。 それは、月子が交流を深めてきた霊達から、毎日のように悩み事の相談を持ちかけ られる事だった。 その件数は、日を追うごとに増えていった。 月子は、今まで散々助けてもらってきたのだから、彼らの話を聞かない訳にはいか なかった。 月子は、毎日霊達の相談を受けるうちに、人間も霊も、同じようなことで辛い目に あっているんだなあと思うようになっていた。     
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