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月子に相談にくる霊はいろいろ居たが、一番多いのが先祖霊だった。
先祖霊たちは大抵、虚無感について悩んでいた。
血を分けた子孫を助けたかったのに、自分の力不足でそれが出来なかった空しさに、
彼らは相当苦しんでいた。
月子に、また霊感が走った。
「あの、今いいですか?」
そういって、番号札を持ったサムライの先祖霊がやって来た。
霊達は、言ったら悪いけれど、こちらが手が離せない忙しい時に限ってやって来た。
月子はその最悪のタイミングに、霊ならもっと解かって欲しいと思いながらも、柔
らかい笑顔で応えるのだった。
しかし霊達のそんな自然体のところにも、月子が親しみを感じていたのは間違いな
かった。
そのサムライの先祖霊は、月子が、いいですよと言わないうちにすでに、持参の座
布団に座り白い手ぬぐいを手にしていた。
よほど辛いことがあったのだろう。
「どうしました?」
そう言いながら月子はそのサムライの先祖霊に、お茶と美味しいと評判の和菓子を
勧めた。
「あの・・・」
最初は遠慮がちに、ポツリポツリと話しているサムライの先祖霊であった。
「そうですね、大変でしたね」
しかし、月子の温かい言葉にほだされて、このサムライの先祖霊も胸の奥にしまっ
てあった痛みを、本来の口調で語りはじめた。
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