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♪ランラン、ランラン、ランランラララララン♪
♪ランラン、ランラン、ランランラララララン♪
そして今日。今宵、自宅のリビングで、お気に入りの曲をかけながら、私はワインで祝杯をあげている。
胎児はあれからも順調に育っていった。そして今日、真理は無事に3,400グラムの男の子を出産したのだ。
本当に良かった。受精から移植までは私の技量が左右するけど、妊娠そして最後の出産に至るまでは、母体の方に委ねられるのだから、無事に産まれるまでは、本当はいつも気を揉んでいる。だから、無事に子供が産まれて、両親から感謝の言葉を言われる時は、本当にこっちもほっとするし、この仕事をやってて良かったとあらためて思う瞬間なのだ。まして、今回はその両親が偶然自分の同級生だったし。クラスメイトの為の仕事で失敗するなんて、絶対に許されなかった。
あらためて卓哉と真理、そして新しい命に乾杯!こんなに気持ち良くワインに酔うのは久しぶりだわ。
そう、今日は本当に素晴らしい日なのよ。彼等にとっても、私にとっても、そして人類にとっても。大げさじゃなくて、本当にそうなのよ。
あの日、真理に言った自分の言葉を思い出しながら、私は一人ほくそ笑む。
「卓哉君の精子を受精した卵子は、あなたの子宮で順調に育っているわ」
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