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その瞬間、まるで互いの間で激しい火花が散ったような感じがした。電流が走ったみたいに、全身がビリビリと痺れて総毛立つのがわかった。
そこから先は、よく覚えていない。
気付いたときには、藤原が居住スペースとして使っている店の二階に引き摺り込まれ、ベッドに組み敷かれていた。
それに何よりわけがわからなかったのは、藤原に対して嫌悪感しか抱いていないのに、彼に貫かれた身体がこれまでにない程快楽を拾って震えていたことだ。
いつも派手な女を傍に置き、芳たちΩを憐れみと蔑みの目で見ているような男に抱かれたくなどないのに、どういうわけか、芳の身体は腹の奧まで咥えた藤原を手放したがらない。
そしてそれは藤原も同じだったのか、
「雇ってやってるってのに、どんだけ卑しいんだ、クソが……っ」
ふざけるな、殺すぞ、などと芳に罵詈雑言を浴びせながらも、激しく突き上げる動きを止めようとしなかった。
一体どうなってるんだと思った直後、項に焼けるような痛みが走った。
嘘だろ、と咄嗟に項を押さえたときには、もう手遅れだった。指先に付いた鮮血が、藤原に噛み付かれたことを証明していた。
こんなにも呆気なく、何が何だかわからないままに、芳は藤原と番になった。
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