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「ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!」
必死に外を目指し,汚れることも気にせず四つん這いになって進んだ。その間,何人かの人と思えるなにかを押しのけたが,防空壕の入口に近づくと外が真っ赤に染まっているのが見えた。
「え? なに……これ……?」
真っ赤な炎とともに焼けるような熱さが全身を覆い,外が燃えているのが見えた。
「マジ……で,なに……これ……?」
振り向くと防空壕の中では大勢の人達が苦しみ悶え,必死に壁を指で掻いていた。そこには加藤も秋本も高橋も山下もおらず,見たことのないガリガリの女性や老人が泣き叫びながら壁や天井を必死に掻きむしっていた。
足元には赤子や小さな子供たちが横たわり,身体に開いた穴という穴から蛆虫がこぼれ落ちていた。蛆虫の動く様子が思っていた以上に早く,なぜこんな虫が人の身体から大量に湧き出ているのか理解できなかった。
「ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!」
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