第1話 さよならシュウ君

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昨日までのどんよりと曇った どこまでも続きそうな 灰色の空ではなく、 冬の冷たい空気がピーンっと はったような鮮やかな 青の(ころも)をまとったような空。 比呂美は昨日シュウからもらった 白のワンピースに 赤いウールのコートを身に(まと)い、 ひとり東京駅の新幹線のホームの (すみ)のベンチで 待ち人が来ない ひとりの時空(とき)に身を(ゆだ)ね 視線もさだまらないまま もう3時間が過ぎようとしていた。 ーーやっぱり… ーーあたし…シュウくんに捨てられたんだ…… ーープルルルルルル… と発車のベルが(むな)しくホームじゅうに響き渡る。
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