第2章 父と子

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 熱い視線を投げてくる生徒は何人かいる。言いたいことがあるなら、言って欲しい。意味のない視線なんかないだろ?  男子生徒の視線が今日はやけに痛かった。なぜ、そんな目で見られるのか…。意味がわからない。  教師がいないと勝手に席を立ってうろつくのはしょうがないとして、自習用のプリントじゃないことを平然とやっている生徒が何人かいた。それを覗きに傍に行くとサッと隠される。勉強に関係ないことをしているのは関心しない。 「先生」  学級委員長が話しかけてきた。 「さっきから、私達を見張るのはやめてもらえませんか?」 「…は?」 「課題は取り組みますし、プリントも提出します。過干渉は返って集中力を妨げるので、背後から見張られるのは迷惑です」  俺はため息を吐いていた。何と返すべきかわからない。いや、押されてばかりではダメだ。 「邪魔したなら謝るが、自習とはいえ今は授業中だ。教師は生徒を見守ることも仕事なんだ」 「他の先生ならまだしも、東海林先生は女子生徒にとって刺激が強いんです。存在自体が迷惑なんです」  クラス全体がざわめいた。俺もコイツが何が言いたいのかわからずに困惑していた。
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