第2章 父と子

7/13
前へ
/56ページ
次へ
 教頭先生がすぐに事情を汲み取ってくれて、体育の先生が残り時間を引き受けてくれた。 「その女子生徒、名前は?」 「三年〇組の 土肥 眞由美です」 「ああ…。そうか……なるほど」  五十歳の教頭先生が納得した理由を聞いても「ちょっと教えられません」と断られた。 「東海林先生は、あのクラスを避けた方が良いですね。配慮しますんで、また何かあったら報告と相談よろしくお願いします」 「わかりました」  放課後、美術準備室に居た俺のところに土肥がやってきてなぜか謝ってきた。  「どういうことだ?」と聞いても、泣きはらした目を泳がせて事情を説明してくれないまま、去っていく。部長の前園あかりが教えてくれた情報によれば、彼女は新聞部で顧問の先生のことが好きらしいという噂があること。新聞部の顧問といえば俺より五歳上の英語教諭で昨年結婚したばかりだ。その相手は元生徒だと聞いている。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加