第1章 父と母

5/14
前へ
/56ページ
次へ
「よし。今日はここまでにしておくか。……ごめんな。疲れたろ?」  晴馬は立ち上がってベッドに近付いてきた。  ぐったりと横たわった私の上に重なって、いたるところにキスをしてくる。 「結構、汗かいてるな」 「……うん」  この汗は疲労だけのものじゃないことはわかってるはず。それなのに、晴馬の頭の中は絵のことでいっぱいで、本物の裸体を前にしてもなぜか平然としていた。  脚で彼の股間にそっと触れてみたけど……。 「あ!」と、晴馬が可愛い声を上げて、気の抜けた顔をした。  端整なイケメンが急に無防備に変わる。 「……ちょ…やめろよぉ。 まだ、真昼間だぞ?」  そう言う晴馬の顔が、すぐに崩れて少しだけだらしない顔に変わった。 「真昼間から裸にしておいて、意地悪なこと言わないで!」  ニヤニヤしながら晴馬が顔を近付けてくる。私は待ち詫びたキスを受け入れた途端に、頭の奥まで快感が広がっていく感覚に身を委ねた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加