第3章 夫と妻

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 私達が車に戻ると、それはカップルじゃなくて男二人組だった。懐中電灯をつけて展望台を登っていく。 「あ! 登ったら危ないのに」 「なんで?」 「まだ、さ迷ってる人がいてね…。騒がしくすると連れて行かれちゃうかも」 「…へ?」  私は車から降りて急いで階段を上がっていくと、丁度上から悲鳴をあげた二人が慌てふためいて降りてきた。男の霊が一番上に立ってこちらを見下ろしていた。 「やっべぇぇぇ!」 「声、聴こえたべや!」 「動画、どうが、録ったどぉぉぉ」  興奮した二人組はまだ高校生なのかな。私に気付くとまた悲鳴を上げた。 「大声はやめてください。刺激すると、怒らせて帰り道、危険ですから」 「なんだよ、あんた」 「び…びっくり、させんなよ!」  霊は一瞬で男の子たちの背後に移動してきたから、私は慌てて話しかけた。 「もう行って…。本当に危ないことをしてるって自覚持ってね」  幽霊さんの話を少しだけ聞いてあげたら、消えた。まだ、自分の名前が言えるうちに旅立つようにだけアドバイスしてみた。どうなるかな?
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