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私達が車に戻ると、それはカップルじゃなくて男二人組だった。懐中電灯をつけて展望台を登っていく。
「あ! 登ったら危ないのに」
「なんで?」
「まだ、さ迷ってる人がいてね…。騒がしくすると連れて行かれちゃうかも」
「…へ?」
私は車から降りて急いで階段を上がっていくと、丁度上から悲鳴をあげた二人が慌てふためいて降りてきた。男の霊が一番上に立ってこちらを見下ろしていた。
「やっべぇぇぇ!」
「声、聴こえたべや!」
「動画、どうが、録ったどぉぉぉ」
興奮した二人組はまだ高校生なのかな。私に気付くとまた悲鳴を上げた。
「大声はやめてください。刺激すると、怒らせて帰り道、危険ですから」
「なんだよ、あんた」
「び…びっくり、させんなよ!」
霊は一瞬で男の子たちの背後に移動してきたから、私は慌てて話しかけた。
「もう行って…。本当に危ないことをしてるって自覚持ってね」
幽霊さんの話を少しだけ聞いてあげたら、消えた。まだ、自分の名前が言えるうちに旅立つようにだけアドバイスしてみた。どうなるかな?
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