第1章 父と母

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 視漢された後の体感は想像以上に昂ぶっていて、晴馬が私のナカに入ってくる頃には快楽の奴隷になってしまった。  晴馬の色っぽい匂いと声とキスと、与えてくる刺激と体温と、押し寄せるようにやってくる強いパルスが、私の身も心も溶かして彼の皮膚の内側にそっと滑り込む。ひとつの生き物になったように、身を重ねたまま何度も何度も大空高くまで飛ばされた。  幸せな身体に幸せな心が満ちる。目を開けると、晴馬がいる。  小さな頃の夢が、叶ってる。  それは、愛する人に愛されること。  目覚めると日が暮れ始めていた。晴馬は裸のまま、隣でぐっすり眠っている。  彼が寝ている間に、私はイーゼルの絵を覗き見た。ヌードデッサンを許したのは、晴馬がどうしても描きたいと言うから。私は晴馬を通すことで、私の見方が少し違うことが新鮮で楽しくて、やってみても良いなって素直に同意できたからでもある。  横顔の私は綺麗な線で面取りされて、よく描けていた。繊細なデッサンは変わってない。どの線も晴馬らしくて感動する。  私はデッサンが苦手だ。どうしても立体感が出せない。晴馬はとても上手に立体的に描き出すから、とても尊敬する。
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