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昼に空から大量に降ってきた衣類にはスーツが無く、俺は無難に細めの黒いパンツを履き、グレーのシャツを着て、その上に紺のジャケットを羽織る――どれも図った様に、サイズはピッタリだ。
着替え終わり、社章をジャケットに付けると、頭がスッキリする気がした。鞄に昨日渡されたノートとボールペンを入れ、和室から俺はまた食堂へと向かう。
「じゃあ、行こうか」
待たせていた大蔵や薫と共に寮を後にする――二人共スーツではなく普段着だが、小綺麗な格好をしていた。
「服って、結構高価なの、貰えるんだね」
そう言って、大蔵は着ている黒いジャケットを確かめるように撫でた。
「たった三ヶ月間の為に、よく用意したわよね。希望を出せば、好きなブランドも揃えてくれるのかしら?」
プリーツの入ったパステルグリーンのスカートに白いブラウスを着た、いかにも女性らしい格好の薫が気にくわなそうにスカートを指でつまんだが、正直似合っているなと俺は思った。
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