三章 死神工場

5/18
前へ
/159ページ
次へ
 昼に空から大量に降ってきた衣類にはスーツが無く、俺は無難に細めの黒いパンツを履き、グレーのシャツを着て、その上に紺のジャケットを羽織る――どれも図った様に、サイズはピッタリだ。  着替え終わり、社章をジャケットに付けると、頭がスッキリする気がした。鞄に昨日渡されたノートとボールペンを入れ、和室から俺はまた食堂へと向かう。 「じゃあ、行こうか」  待たせていた大蔵や薫と共に寮を後にする――二人共スーツではなく普段着だが、小綺麗な格好をしていた。 「服って、結構高価なの、貰えるんだね」  そう言って、大蔵は着ている黒いジャケットを確かめるように撫でた。 「たった三ヶ月間の為に、よく用意したわよね。希望を出せば、好きなブランドも揃えてくれるのかしら?」  プリーツの入ったパステルグリーンのスカートに白いブラウスを着た、いかにも女性らしい格好の薫が気にくわなそうにスカートを指でつまんだが、正直似合っているなと俺は思った。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加